各競技において重要な視覚機能
スポーツ種目によって視覚機能はその重要な項目に差があります。下記の表には、競技別に視覚機能の重要度を5段階で評価してあります。5段階の数字は5になるほど重要となります。この表は、ボールを使用した競技や高速スポーツでは視覚機能の重要性が高く、静的な種目では重要度が低くなっていますが、あくまでも目安としてください。
競技別視覚機能重要度表 |
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静止視力 | 動体視力 | 眼球運動 | 深視力 | 瞬間視 | 手と眼 | |
野球(打撃) | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
野球(投球) | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 4 |
バスケットボール | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
バレーボール | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
テニス | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
サッカー | 3 | 4 | 5 | 5 | 5 | 5 |
ボクシング | 2 | 2 | 5 | 3 | 5 | 5 |
ゴルフ | 3 | 1 | 4 | 5 | 1 | 5 |
アーチェリー | 5 | 3 | 3 | 4 | 2 | 5 |
ランニング | 3 | 1 | 2 | 1 | 3 | 3 |
水泳 | 3 | 1 | 1 | 3 | 2 | 3 |
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野球
打撃と投球では要求される視覚機能が異なりますが、全体的に高い能力が必要になります。実際にトッププレーヤーを見てみると動体視力、眼球運動、眼と手の協調性などが重要であると考えてよいでしょう。又、野球でもポジションにより要求される視覚機能は若干差があることもデータからわかっています。
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バスケットボール
特に要求される高い視覚機能は、動体視力、深視力、眼球運動。さらに眼と手の協調性なども非常に重要な項目です。また、バスケットボールは、高い視覚機能が必要なことと併せて集中力も必要になり、目まぐるしい スピードに耐えうるタフな視覚機能も要求されます。バスケットボールにはフリースローなど、ゴールとの距離感を把握するために、空間位置の把握も非常に重要になります。
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バレーボール
バレーボールでは、サーブやレシーブさらにトスやスパイクなどに高い深視力が求められ、眼と手の協調性も非常に重要になります。また、スパイクされたボールを瞬時に判断し、レシーブするために瞬間視も非常に大切な項目です。
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テニス
テニスはバレーボールやバスケットボールと異なり、多くの選手が入り混じったプレーではありません。広いコート内でのボールの位置やラインを正確に把握するための深視力や、ボールの回転の見極めや速いスピードのショットを正確にレシーブするための瞬間視や動体視力、眼と手の協調性が重要になります。
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サッカー
サッカーはボールも大きく、野球やテニスなどに比較してもそのスピードは速くはありません。静止視力や動体視力が良い事は言うに及びません。ボールが動いている範囲が非常に広く選手は長い時間を動き回らなければいけません。また、ボールや味方、敵選手の位置関係などを瞬時に判断しなければならないシーンの連続です。そのためには眼球運動、周辺視野(周辺視力)、瞬間視や眼と足の協調性などの視覚機能が重要になります。また、フリーキックなどのセットプレーの際にはボールの軌道をイメージする必要があり、視覚イメージも大切な機能の一つです。
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ボクシング
ボクシングはコンタクトスポーツです。近い距離から放たれる速いスピードのパンチをかわしたり、隙を一瞬で判断してパンチを撃ち込まなければなりません。そのためには瞬間視や眼と手の協調性は非常に重要です。また、ボクシングでは正面に立つ選手の顔面からボディーまでが対象になるため、縦方向の眼球運動も重要です。
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ゴルフ
ゴルフは対象物が動いていないので、動体視力等はあまり重要でないかもしれません。しかし、距離感の把握は非常に重要で、深視力は最も重要な機能でしょう。またパッティングの際のライン読みなどには乱視の未矯正は大きな問題になるということもわかっています。
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アーチェリー
静止視力が良い事はどのスポーツ競技にも言えることですが、アーチェリーでは特に重要です。また、的とスコープにそれぞれ焦点を合わせるため、調節機能は重要な項目の一つです。また、アーチェリーを含めたシューティングスポーツで利き眼が非常に大切になります。利き眼と利き腕が同じほうが有利とされ、眼の情報入力から来る対象物のズレを無くすことが必要不可欠になると言われています。
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ランニング
ランニングは対象物が動くわけではありませんので動体視力等はあまり重要ではないかも知れません。しかし、周りの景色などの流れの認識は、ランナーの疲れに影響を与えますので、球技ほど要求度は高くありませんが、良いに越したことはありません。
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水泳
あまり動態視力等の要求度は高くありません。しかし、ターンの際などにプールサイドとの距離感を認識するためには、深視力は必要です。また、手や足が協調性をもって動くことが重要なため、眼と手足の協調性は必要です。
このように競技別視覚機能重要度表から必要な項目を参考にし、あなたがプレーするスポーツを視覚機能の観点からもう一度考えてみることも、スポーツパフォーマンスの向上に役立つ事と思います。