トップアスリートの事例
紹介する全症例のコンタクトレンズ、点眼薬の処方は眼科専門医がおこなっています。
女子プロゴルファーA
ツアー通算2勝をあげ、毎年安定して賞金ランク20位以内のトップ女子プロゴルファー
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距離感が合わない
現在の左右の矯正視力に差があるため、深視力や精密立体視と呼ばれる空間認知に問題が出て、遠近感の把握が困難になっている。
これを解消するために、まず左右の矯正視力をより近い見え方に修正する必要があった。 -
ラインがわからない
現在使用中のコンタクトレンズでは、乱視矯正がされていないため、空間の歪みが残り、グリーンの傾斜等が把握しづらい。乱視矯正の必要があり、コンタクトレンズを乱視矯正用のトーリックレンズに変更する
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結果
コンタクトレンズを乱視矯正用に変更することで、①の左右の矯正視力をそろえる事が可能になり、乱視矯正により、空間の歪みの補正も可能になった。この週の試合で通算3勝目を挙げる。
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本人コメント
「これほど感覚が変わりラインが見えるとは、びっくりした!」
※このケースではコンタクトレンズを乱視矯正用に変更という方法を選択したが、メガネによる補正も選択肢にはあった。しかし競技の特性上、感覚的なウェイトが大きく左右するため、現在の本人の感覚を優先し、コンタクトレンズの種類(乱視矯正)を変更する判断をした。尚、シーズン中であるため、本人の感覚的な要素をも考慮してコンタクトレンズの矯正を選択した。
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プロ野球選手B
一軍で主軸を打つベテラン選手、安定した成績を毎年収めている
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室内や薄暗い時にボールが見にくい
現在まで視力矯正をおこなったことはない。検査の結果、両眼とも軽い遠視と乱視の未矯正があった。重大な屈折異常の未矯正と言われるほどの低下はなく、日常生活に支障があるほどの視力ではない。しかし、競技レベルや競技環境を考慮すると矯正の必要があると判断。選択肢としてはメガネ(度付スポーツゴーグル)とコンタクトレンズが考えられた。シーズン中でもあり、本人の感覚的な部分を考慮するとコンタクトレンズの選択がベストと判断して、まずトライアルをおこなうとともに、度付サングラスのテストもおこなった。
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結果
屋外のゲームでは風の影響やドーム球場の空調などの影響で、コンタクトレンズが乾きやすく違和感や見づらさを感じた。度付サングラスは風や乾燥などの条件はクリアでき、守備時にも問題はなかった。しかし、打撃時には眼の動きにより歪み等の違和感があり、感覚的な部分で問題があった。最終的に守備、打撃同じ視環境でプレーをおこなうことがベストであり、そのためにはコンタクトレンズが最適ではあるが、上記の問題点がポイントになった。そこで、乾燥感に関しては、人工涙液の点眼と併用して、涙の質を改善するための点眼薬を併用。また、屋外での風対策として、必要時にサングラスを装用することとした。
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補足
コンタクトレンズは点眼をおこなうことにより、乾燥感は若干残るものの、使用でき、調子も良好になった。遠視と乱視の未矯正であったため、コンタクトレンズはゲームを含めたプレー用として度数を設定し、プレー以外のコンディショニング用とし、遠視と乱視を処方したメガネを用意した。遠視は通常時にも自己のピント合わせを使用する為、非常に疲れやすく、肩こりや首のコリ、偏頭痛などの誘因となりやすい。その為コンディショニングという観点から、プレー時とは異なる度数を設定し装用させることとした。プロ野球選手に関しては、シーズンも長く、プレー中だけではなく、普段の生活の中からコンディションを整える事が必要であり、眼も例外ではない。
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